カテゴリー: <span>鉄道・交通事情</span>

JR東日本そして北海道、新型気動車投入のお話

先月JR東日本が発表した、日本海縦貫線への新型DC投入の件ですが、電気式DCという点も珍しいと思っていたのに、今週になって北海道からも新型電気式DC導入のニュースがありました。北海道の場合は東日本と同一形式を導入する、といったプレス内容でしたが、先行でお試し2両を投入し、具合を見て140両在籍している北海道のキハ40シリーズを置き換えるという話です。
東日本の場合、昨年発表された八戸線への新型DCとともに公募による入札とのことですが、これは日本メーカーの欧州進出、日欧EPAにおいて日本の鉄道市場の開放が欧州側から求められているためだと思われます。八戸線の液体式DCはともかく、今回の電気式DCはボンバルディアに代表される欧州勢に一日の長がありますから、ここら辺が落札するのかな、とは思いますが、日立の辺りの可能性もありますね。北海道も同一形式という点ではこちらのメーカーも同じところになる可能性が高いですね。
東日本で導入する両数、150両から最大250両に北海道の140両(実際にはこれより少ないそうです。)とあわせると最低でも300両、最大で400両近い車両を納入する事になりそうですが、果たしてそのメーカーは何処になるのか、という点が興味深いです。
そういえば、キハE200やHB-E210といったハイブリッドDCは今回は見送りになるのでしょうか。秋田青森エリアではHB-E300の運行実績もあり、さらに今回1編成増備も発表され、仙台都市圏エリアでも運行されるくらい実績を作ってきた技術なのに勿体ないように思えます。10両、20両単位での増備はいいけれど、100両単位の大量製造はコストに見合わないのでしょうか。
重量面でも国鉄型キハ40で約37t、新型ではキハ110で31tに対し、HB-E210で40tと大幅な重量増な点もハイブリッド式が増えていかない一因になっているのではないかと思います。電気式DCなら発電機、モーターはHBシリーズとほぼ同じ機構でバッテリーだけ外して重量抑えて整備もラクラク♪的な発想なのでしょうか。
いずれにせよ、公募の結果が出るのが楽しみですね。

そして、両社共に置き換え対象となっているキハ40シリーズの行き先もきになります。
廃車になる車両はやはり、先輩と同様ミャンマーへ行ってしまうでしょうか。今回の車両には冷房車だけでなく非冷房車も多数含まれていますが、近年エアコン車両を欲しがっているかの地に非冷房車が受け入れられるのか、それとも定番の貫通扉全開の非冷房車として地方路線で運転されるのか、やっぱり輸出されずに解体されてしまうのか、その辺も今後目が離せません。

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暮れなずむヤンゴン駅で家路に着く人を乗せ、北海道出身のRBE25106が環状線内回り運用の出発待ち。ヤンゴン環状線ではキハ40、38、181を使用したエアコン車運用が設定されており、1周約2時間40分でヤンゴンと郊外の街を結んで走っています。

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せっかく譲渡されてもしばらくすると整備不良で留置になってしまうのは東南アジア何処でも一緒なのが悲しいところですが、東日本は整備技術の供与にも積極的なのでこういった状態も徐々に解消されていくのではないでしょうか。

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キハ38も活躍中。整備不良の原因の一つとして多数の形式で少数の車両が在籍していることではないでしょうか。今後、キハ40が大量放出されますので、単一車種が大量に手に入れば整備性も向上し、不良車が減少するのではないでしょうか。


ジャカルタMRT、日本勢が鉄道システムも受注。

4月30日、ジャカルタMRT南北線の鉄道システム、軌道工事の契約締結が、MRTJ(ジャカルタ都市高速鉄道会社)、三井物産、神戸製鋼、東洋エンジニアリングの間で行われました。3月に車両製造を日車が受注したとの発表がありましたが、これに続くとあって開業がいまから待ち遠しい限りです。
1期工事に当たる南北線のシステム全般を日本勢が受注したことで、今後南北線の2期工事、コタ方面への延伸はもちろん、東西線建設の際にも同一の仕様となればいいなと思っていますが、そこはインドネシア。全く別のシステムとなって欧州や中国企業が受け持つような気がしてなりません。
日本勢、気を抜かずに頑張って欲しいと思います。

そういえば、先日KCJが乗車券システムを従来のmifareからfelicaに変更するというアナウンスがありましたが、地下鉄の改札システムも日本が受け持つことを考えると、KCJの乗車券システムとMRTの乗車券システムの統合を図るのが目的なのでは?と勘繰ってしまいます。
現在のジャカルタではさまざまな電子マネーが乱立し、バスや電車でも使えるのに、電子マネーによってチャージできる駅や停留所が違うというわけが分からない状態になっています。新しい決済システムにするのは結構ですが、こういう状況も解消して欲しいです。鉄道系以外の電子マネーは鉄道利用時にアクティベーションが必要だとか、commet(鉄道専用電子マネー)ではトランスジャカルタで使えないし、エキナカのコンビニで使える電子マネーはflazz(銀行系電子マネー)とか…

トランスジャカルタでは6種類の電子マネー(e-Ticket)が使えるけれど…
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停留所の切符売り場には電子マネーのチャージ端末が所狭しと。
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これだけPINパッドがあったら一つくらい欲しいわ(笑)

そして…
報道によると、今月、もしくは来月中に日本人を含む、ビザ免除プログラムがスタートするようです。35ドルのアライバルビザが不要になるときも近そうですね。


ジャカルタMRT、日本勢が車両製造を落札。

2015年3月3日、住友商事、日本車輌製造によってジャカルタMRT南北線用車両96両の製造を受注したことが発表されました。インドネシアにおける日本製「新型」車両の導入は1997年以来、実に20年振りとなるそうです。
近年の東南アジア地域におけるMRT建設の進捗は構想段階から建設、開業の段階へと移っており、日本勢による車輌の製造受注が目立っています。2012年のマニラMRT7号線(総合車輌)、2013年のホーチミンMRT1号線(日立)、2014年のバンコクMRTパープルライン(総合車輌)と、毎年何処かしらの都市で使われる車両を受注しており、さらなる躍進が期待されます。
そもそも…アルストム、シーメンス、ボンバルディア、ヒュンダイロテムといった海外大手企業はある程度の標準仕様があるようで、どこの都市に行っても同じような車両が走っており、特にアルストムの「メトロポリス」シリーズは自分がどの街に居るのか分からなくなるくらいそっくりな時もあります。

日本でも近年、JR東日本が導入したE231系、E233系ベースの車両を相模鉄道や都営地下鉄、小田急電鉄などが導入して話題になりましたが、欧州や中国では比較にならない規模で共通仕様の車両が投入されており、需要があればコストも下がるわけで、東南アジアでも一時は欧州勢の大躍進となったわけですが、日本国内でもガイドライン策定によって仕様の共通化が図られるなどした結果、STRASYA(STandard urban RAilway SYstem for Asia)による信号システムなどと抱き合わせた手法によって価格だけではない魅力を提供できるようになったのではないかと思います。
そして今回、ジャカルタMRTの車輌製造をおこなう日本車両ですが、2001年、2011年にジャカルタ圏都市鉄道向けに同国内で製造された車両に対して技術支援をしており、そしてインドネシアでは2019年には鉄道車両の国産化を達成させることが決まっており、こうした背景も受注の裏にあって、今後開業する路線では車両製作に対する技術支援、ノックダウンといった事が出てくるのではないかと考えられます。

人口が増加し続けているアジアの諸都市。さらなる日本製車両の活躍を見てみたいですね。